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2013/02/15 The SALOVERS「LOVER MATCH 対バンツアー」 W / LOSTAGE @神戸・太陽と虎

 
 昨年9月にアルバム『珍文完聞 ‐Chin Bung Kan Bung‐』 でメジャーデビューを果たし、初のワンマンツアーを行ったThe SALOVERS。それから約4ヶ月後の2月15日、彼らは神戸・太陽と虎のステージに立っていた。「LOVER MATCH 対バンツアー」と題された今回のツアーは、元々、彼らが自主企画として数ヶ月間隔で行っていたものをツアー化したもので、横浜、千葉、京都、神戸の4ヶ所が公演地として選ばれた。
 その日の三宮の空は薄曇りで、時折、雨粒が落ちていた。それも手伝ってか、開演を待つオーディエンスで埋め尽くされた太陽と虎のフロアは少し蒸し蒸しとしていた。
 最初のステージはLOSTAGE。轟音の波が静かに、時には激しく押し寄せてくる、そんなライヴだった。おそらく、オーディエンスの半分以上はThe SALOVERSファンだったに違いないが、LOSTAGEはその中でも威風堂々としたサウンドを鳴らし、空間を完全に彼らのものとしていた。
 圧倒的なライヴの後は、ホストのThe SALOVERSのステージ。メンバー自身が“ビオトープ ‐生物生育空間‐”を軽く演奏し、サウンドチェックを行い、ライヴがスタートした。疾走感溢れるドラムで始まる“チンギスハンとヘップバーン”、フロアが合唱と手拍子で一体と化した“仏教ソング”、彼らの代表曲と言える“サリンジャー”と、序盤から攻めのセットリスト。少し前まではLOSTAGEに支配されていた空間が、この3曲で一気に彼らの空間となった。古舘佑太郎(Vo&Gt)が「4月3日、The SALOVERS1stシングル『床には君のカーディガン』を発売します。早速、その曲をやります」と一言の後、新曲“床には君のカーディガン”。メンバーのコーラスやブルースハープ、タンバリンが入るこの曲は、The SALOVERS特有の青さは健在ながらも、今までにない程ポップであり、歌詞の情景描写が細かく、とてもリアル。「サラバーズは、また新しい扉を開けた気がする。(2012/12/29 古舘佑太郎ブログより)」と古舘が記していたように、新しい一面を見せてくれる1曲だ。さて、この日のライヴで特筆すべきは久しぶりの演奏となった“バンドを始めた頃”から“ペンシルフィッシュ”の流れ。少々、サウンドが歪んだ場面があったものの、全編を通して言えることだが、4人の音の絡み方が以前よりも有機的になっており、この2曲ではこの日1番の逞しさが感じられた。そこからはオーディエンスに息をつく間も与えない怒涛のステージを展開。今やフェスでの定番の曲となった“オールド台湾”では最後の〈台湾!〉と叫ぶところを〈神戸!〉コールに代え、会場の熱は最高潮に。そして、アンコールの“愛しておくれ”では、その熱が程良く残りながら、メンバーを暖かく包み込むような空気が生まれた。
 The SALOVERSは、今もまだ「自分たちがどんなバンドなのか」模索している道の途中にいるように感じる。しかし、〈過去を捨てることで明日が来るのでしょう〉(“雨降りのベイサイド”)、〈俺らに過去などはない〉(“バンドを始めた頃”)で歌われているように過去には囚われない姿勢をとる彼らは、前に進もうとする、とてつもないエネルギーを持っている。今回のライヴでは、そのエネルギーが溢れ出る瞬間が多くあり、彼らのこれからに期待をせずにはいられなくなった。6月には「レコ発ツアー 〜床には君のカーディガン〜」を東京、大阪、福岡、名古屋で行うThe SALOVERS。4ヶ月後には、どんな姿を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がない。

―The SALOVERS SET LIST―
1.チンギスハンとヘップバーン
2.仏教ソング
3.サリンジャー
4.床には君のカーディガン
5.SAD GIRL
6.フランシスコサンセット
7.サイケデリックマリー
8.雨降りのベイサイド
9.バンドを始めた頃
10.ペンシルフィッシュ
11.China
12.ディタラトゥエンティ
13.オールド台湾
en.愛しておくれ

Text by 須藤千尋


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