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【レビュー】『OVERTONE』/KEYTALK


OVERTONE (初回限定盤A)OVERTONE (初回限定盤A)
(2014/05/21)
KEYTALK

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ここまできたか、4人の天才音楽家たち。

聞こえてくる音の趣き深いことったらありゃしない。美の世界。それはなにも、メロディーだけではない。歌詞やギターのフレーズ、ドラムの音色、全てになめらかさがある。聴いていて、心にぐっとくる。そこにあるのは、J-POPを聴いて育った彼らから生まれた、日本の歌謡曲独特の「和」。KEYTALKを語るうえで欠かせない、和の楽しさである。

めまぐるしい転調を見せたかと思えば、サビは現代のアニメソングを思わせるような中毒的なメロディーの“バミューダアンドロメダ”からはじまり、このアルバムのリード曲にもなっている“MURASAKI”。これがまた最高傑作。<知らないような女抱いて 知らないふりをして 囁けば耳元で 消えてくありがとう>といった色っぽい歌詞に、心くすぐられる歌謡のメロディー。気を抜いて聴いていると、うっかり涙がこぼれてしまいそうになる。わりとアップテンポなのに、なぜか切ない気持ちになってしまうのだ。まさにKEYTALKでなければ生み出せない曲である。小野武正(Gt./Cho)が作曲した“はじまりの扉”は、メロディーの起伏が激しいのだが、音の流れが綺麗なおかげで、耳なじみが良い。ギターのリフと時々入るコーラスもアクセントになっている。“YGB”は八木優樹(Dr./Cho.)がはじめて作曲に挑戦した曲だが、初めてとは思えないほどクオリティーが高い。そして面白いことに、これまた八木以外のメンバーが作れないような曲なのである。勢いがあって、力強くて、楽しくて、男らしい曲だ。個人的に、野球の応援歌にピッタリだと思う。

『OVERTONE』、とんでもない作品になった。4人が自分たちの力を最大限に出し、新たな「パラレル」ワールドへの扉を開けている。この作品を聴き終わった後に感じるのは、KEYTALKは確実に一歩進んだ、ということ。今までのKEYTALKにはあまり見られなかった「色気」のある“MURASAKI”、非日常な世界を描くトリッキーな歌詞とサウンドが特徴的な“BEAM”、ふざけたことで曲がさらに色づいた、“お祭りセンセーション”、可愛いらしいワルツ風の“Siesta”、・・・・・・それぞれが作る曲の良さを保ちつつも、新しいことにチャレンジした様子がすぐに伺える。そして見事にそれが成功しているのだから、実力をつけてきたな、と感じずにはいられなかった。4人の天才音楽家たちが作るサウンドに魅了されっぱなし。お互いがお互いの個性を認め合い、出せる良い所は出し合うといったチームワークさえ感じるこの1枚。今後のKEYTALKがどうなっていくのか、全く予想がつかないが、予想がつかないだけに楽しみで仕方がない。

                                            Text By 原 なつの(@natsu_notty)
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【レビュー】『小さな生き物』/スピッツ

spitz.jpg

エア被災上等

 前作『とげまる』(2010)リリースの際も「3年ぶりの」という枕詞がついていた。普通のバンドにとってはそこそこ長い3年というタームも、今のスピッツにはしっくりくるのかもしれない。今作『小さな生き物』は、全体を通して前々作『さざなみCD』(2007)や『とげまる』のエヴァーグリーンで優しい音像をしっかり引き継いでいながらも、1曲目「未来コオロギ」やシングル曲「さらさら」、ボーナストラック「エスペランサ」など、近年のアルバムではあまり無かったマイナー感やサイケっぽさの強い曲もある。実に13年ぶりのインストナンバー「scat」などはそのまま『三日月ロック』(2002)に収録されていそう。『三日月ロック』はその前の『ハヤブサ』(2000)と共に、当時パンクバンドという出自に反してすっかり“人畜無害”扱いを受けていた彼らによる、反抗的で変革的なアルバムだ。ゴリゴリのディストーションやスペイシーなシンセの上にスピッツ謹製のけだるい微熱感がキラリと光っていたそれは、今なおファンの間で根強い人気を誇る。要は、『小さな生き物』はメロディアスさと天邪鬼さの両方を持った意欲作といえるのだ。

 『小さな生き物』の話に戻ろう。ある意味トラックよりも先立ってドキリとさせられるのが、聴き手の不意をついて現われる歌詞だ。

〈時の流れ方も 弱さの意味も違う〉(「未来コオロギ」)
〈犠牲の上のハッピーライフ 拾って食べたロンリネス/終わらない負の連鎖は 痛み止めで忘れたけど〉
(「りありてぃ」)
〈深く掘って埋めても 無くせないはずだから〉(「小さな生き物」)
(↑反射的に放射性廃棄物の地層処分を思い出す。社会派イメージの薄い草野だが、ファンクラブ会報や会員限定ブログなどではポツポツと震災や原発に関する発言をしている。THE FUTURE TIMESにもインタビューで登場していて、彼のそこらへんの姿勢についてはそこに生々しいぐらい出てます)


 ロウソクの灯のように儚くも強かな今作の歌詞の訴求力は、前作を上回っている。震災以降の現代に対する草野の繊細な実感が、かつて彼を“エア被災”と揶揄した人々を納得させて余りある写実性でもって結実したのだ。サウンドの面でも、これまでスピッツが持ち合わせてきた“優しさ”と“反抗心”の両面が反発も同調もせずに1枚のアルバムとして共存するさまは、どちらか一方だけでは空虚に思えてしまう今の感覚とシンクロしているように思えてならない。同時にそれは、それまでの道を外れないまま意欲がにじみ出てくる老舗バンドの安定感そのものでもある。
 「エンドロールには早すぎる」で80年代シティポップ・リバイバルに打ち込みを取り入れるなど(前月出たばかりの(((さらうんど)))の新譜のアプローチに似ている)、音楽シーンの流行にも敏感らしいスピッツ。今年で26年目、常に時代と連れ添って歩むその歴史はまだまだ続く。

 Text by 吉田 紗柚季 (twitter:@Rougetsu12, facebook)


スピッツ / 小さな生き物


スピッツ / さわって・変わって(参考:2002年発売『三日月ロック』収録)

【夏休み企画】音小屋大阪・夏のレコード体当たり入門記 ―サカナクション『INORI EP』によせて―


INORI EP (初回生産限定) [Analog]INORI EP (初回生産限定) [Analog]
(2013/06/26)
サカナクション

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 毎日暑いですね。少し前まで身体に悪いと言われていた夜中のクーラーが、今では熱中症予防のカギとしてうたわれています。
 こう暑いと部屋で音楽を聴いて過ごすしかないというわけで、サカナクション初のレコード作品『INORI EP』のリリースに寄せて、レコード歴わずか2ヶ月の私が、非常にざっくりしたレコード知識と入門法を、個人的な話を交えつつご紹介します。レコードという言葉が1%でも耳に引っかかってしまった方、どうぞお手柔らかにお付き合いください。続きを読む

【レビュー】『アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!』/ The SALOVERS


青春はHOT HOT HOT!に突っ走るしかねぇ!!!!


アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!(初回生産限定盤)(DVD付)アンデスの街でこんな夜はHOT HOT HOT!(初回生産限定盤)(DVD付)
(2013/07/31)
The SALOVERS

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“HOT HOT HOT!”のイントロの乾いたギターサウンドと<丸く丸くなりたくない トゲトゲしく生きていたい>というフレーズを聴いた瞬間、馬鹿ばかりやっていた中学時代の夏休みを思い出した。平和な日常生活を送ることが大っ嫌いで、常に周りの奴らとは違うことがしたくて、無茶なことばかりをしていた、あの夏休み。<無理をしている>になぞらえて無茶なことばかり(高所恐怖症の藤井(Gt)はバンジージャンプに、カナヅチの小林(Ba)は海にダイヴなど、メンバー各々が無理をしている)をしていている今作のPVのテンションと、あの頃の自分が重なって見えて、青春を感じまくってしまった。やはり、彼らは、ありとあらゆる青春の1ページを切り取る天才なのだと確信した。終始、前のめり全開に突っ走る“HOT HOT HOT!”も、ポップでキュートだけれどなんだか笑ってしまう、ウエディング・ソング“アンデスの街で”も、弾き語りのライヴトラックのようにすることで生々しさがエグい、超女々しいラブソング“こんな夜”も、どれもがこっ恥ずかしいんだけれど、愛おしくてたまらない。彼ら自身も気づかない程、常に変化し続けるバンド、サラバーズ。特に今作では、インディーズの頃のぶっきらぼうな青春感とは、少し違う「狙った青春感」を感じた。収録されている3曲の曲名を繋げ、タイトルにして恋愛3部作にしてしまうあたりにも、そんなことを思った。あの頃は無意識に表現できた青春感を、自分たちで作るコツを完全に掴んだ彼らは、あの頃よりも強大で、良い意味でタチが悪い。初期衝動が詰まった1st的なアルバムになると、古舘(Vo&Gt)が語っていた次のアルバムにも目が離せない。そういえば、聴き終わった直後、無意識に中学時代の仲間たちに「夏休み遊ぼ!」って連絡してたことに今気がついた。

Text by 青木優太(@yuta_LTD

【レビュー】『宇宙の果てはこの目の前に』/ andymori

ネバーランドへ行ってしまうアンディへ

宇宙の果てはこの目の前に宇宙の果てはこの目の前に
(2013/06/26)
andymori

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 「ああ、僕らは置いていかれてしまった」と思った。彼らはネバーランドへ行ってしまう。僕らのプレーヤーの中で永遠になってしまう。<ネバーランドはどこにもない>なんて歌う小山田壮平の声が持つ悲しみは、ネバーランドがないことに対する悲しみではなく、時を止めて、永遠になってしまうandymoriに対する悲しみなのではないかと僕は思う。

 そう、andymoriが解散するというニュースが日本のロックファンに与えた衝撃を想像するのは容易い。常に転がり続けていた(過去形になってしまうのが本当に悲しい)だけに、簡単に分解してしまいそうな危うさと共にあったバンドではあるが、あまりにも突然じゃないかと思う。そして、ラストアルバムとなるこの『宇宙の果てはこの目の前に』がとにかく素晴らしいアルバムであることが、あまつさえそんな思いを加速させ、追いつけなくさせてしまう。
 そして改めて、小山田壮平のソングライティングの才能に驚かされる。表題曲の“宇宙の果てはこの目の前に”や“teen’s”のような壮大な曲から、浜田省吾ばりの金への贈愛の歌“MONEY MONEY MONEY”、ブルージーな“スパイラル”、ピアノのフレーズが印象的でどこかメランコリックな“優花”、など彼やメンバーのバックボーンの広さを感じることが出来るし、それだけに、まだまだandymoriが転がり続ける旅の途中にいることを、聞いた人は皆感じるはずだ。加えて、ラストの“夢見るバンドワゴン”を聞き終わったときには、「次のアルバムも楽しみだ」と思うはずだ。
 
 まあ、ともかく、今はこんな素晴らしいアルバムがリリースされたことを祝福したい。間違いなく最新の、現在進行形のandymoriが鳴らさているアルバムになっているのだから。

Text by 田中宏一郎

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